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アンソニー・ヴァン・ダイク
Sir Anthony Van Dyck
アントワープ1599年~ロンドン1641年
アンソニー・ヴァン・ダイク(アントーン・ファン・ダイク)は1599年3月22日、アントワープの富裕な織物商人フランス・ヴァン・ダイクとマリア・カイパース夫妻の第7子として生まれた。生家はアントワープの中心グロート・マルクトのデン・ベレンダンスという建物。ヴァン・ダイク一家は敬虔なカトリック信者で、そのためか3人の姉妹はベギン会修道女、最年少の息子テオドールは聖堂参事会員になったのちに教区司祭になっている。1609年、アントワープ聖ルカ画家組合にヘンドリック・ファン・バーレン(1574/5-1632)の弟子として入り、修業を開始した。彼の画才は かなり初期から顕著で、14歳の時に描いた自画像が今も残っている。2年後には専用のアトリエも持っていたようである。1618年には同画家組合での親方画家となった。この頃から彼はルーベンス(1577-1640)と共に制作を行うようになる。ヴァン・ダイクはルーベンスと共に仕事を始めたとき、すでに独立した画家であったから、厳密には彼をルーベンスの弟子というわけにはいかないが、ルーベンスがヴァン・ダイクの肖像画を1613-1615年頃にすでに描いていることから、彼らの親交はそれより更に前にさかのぼると考えられる。また、ルーベンス本人がヴァン・ダイクを「我が最良の弟子」と呼んでもいる。1620年に彼は英国宮廷へ赴くが、滞在は短期間に終わった。1621年、ジェノヴァへ向かい、1622年からはヴェネチア、マントヴァ、ミラノ、トリノを訪れ、またローマには比較的長く滞在した。彼はこの旅行でイタリアにおいてもある程度の名声を築いたが、それが決定的なものとなったのは一連の貴族の肖像画を描いた1625年から1627年のジェノヴァでのことである。1627年にアントワープに戻るとすぐ、数多くの祭壇画や宗教画制作の注文を受けた。1632年までアントワープで過ごしたが、そのあいだに多くの反宗教改革的作品を残している。1632年になると彼は英国王チャールズ1世に仕える宮廷画家となる。住居をロンドン近郊のブラックフライアースに構え、騎士の称号をも受けた。1641年12月9日に同地方で没する。遺骸は聖ポール寺院に埋葬されたが、1666年のロンドン大火の際に墓石と遺骸は失われてしまっている。
ヴァン・ダイクの画業は大きくアントワープ期、イタリア期、アントワープ第2期、イギリス期の4期に分けられる。彼がルーベンスの弟子であるとともによき共同制作者でもあったアントワープ期、すなわち初期の作品からは、宗教的、神話的、歴史的な題材の中にはっとさせるような力強い表現が見られると同時に彼が肖像画家としてもすでに傑出した才能を持っていたことが理解できる。ルーベンスの影響を強く受けながらも、ティツィアーノやティントレットに代表される16世紀のヴェネチアの巨匠のもつ自由で繊細なテクニックを早々と自らのものとしていることも分かる。イタリアに長く滞在した時期-イタリア期-においては、彼は主として肖像画家として理解される。彼のイタリア巨匠への傾倒は同時期のスケッチブック(ロンドン、大英博物館)にうかがえる。
1627年から1632年にかけてのアントワープ第2期は、多数の祭壇画やその他の宗教的芸術作品を手掛けた時期であり、各作品はヴェネチアン・ルネサンスやイタリアの同時代画家を強く意識させる仕上がりとなっている。その力強い作風に立脚して、教会作品を中心とした反宗教改革画家としての側面が現れている。イギリス期は、チャールズ1世王に宮廷画家として仕えるなど、当時のヨーロッパで最も芸術に造詣の深かった宮廷において活動していた時期である。主に肖像画を制作したが、アントワープの初期に比べ、洗練と気品を増した作品を多く残している。
アントワープ市内の各所にはヴァン・ダイクゆかりの建物や作品が散在している。ヴァン・ダイクの時代から今に至るまで変わることなく活気に満ちた大都市アントワープを、同画家をテーマに歩いてみよう。
コースはヴァン・ダイクの生家のあるグロート・マルクトから出発し、ヴァン・ダイクが受洗したノートルダム大聖堂を見学。その後、聖パウロ教会で彼の作品「十字架を担うキリスト」を見学。彼のアトリエがあった王立美術アカデミー周辺を経由し、ロコックスの家へ。同所では油彩「ある老人の肖像画」を、そしてカロルス・ボロメウス教会ではその天井画を見学。
アントワープの中央を走るショッピングストリートのメイル通りにはヴァン・ダイクの立像が立っている。オステリートの家で「ルーシー・カーライル」を、ルーベンスの家で「バッキンガム公家肖像画」とルーベンスによる若き日のヴァン・ダイクの肖像画を見学。のちに市立版画ギャラリーで素描画とグラフィック・アートそしてメイデンズ・ハウスで作品「ヒエロニムス」を見学する。
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